数年来の創作を(ほぼ)手放すことにしました。
元々は別名義で書いていた作品で、掲載サイトの履歴を見る限り2013年2月中頃から連載開始、つまりもうすぐ10年来の付き合いになる作品です。
元々は前の統一世界観で出てきた錬金術の一設定を基に、当時影響を受けていた作品のエッセンスを取り込み、成立した世界観でした。4度にわたり設定の再構築が行われ、最初はただのぽっと出の敵だったキャラが仲間になり、最後『うたかた夜空』に改題された頃には作品の性別バランスの都合で性別が変わりました。
この作品の設定公開をして連載を諦める理由、それはひとえに「これ完結しないなぁ」という確信です。
先述したように、この作品は改題前に4度、そして改題に伴う再構築で5度も設定が変わっています。そのたびに主人公は現実的な強さ、言ってしまえば弱体化し、無制限に生み出せた主人公の得物は1回こっきりしか使えなくなりました。最後まで展開は作り終えてはいますが、今の彼に走り抜けることは難しいでしょう。ストーリーラインの変更も必要です。
世界観の更新をやめればいいとも思うのですが、この作品自体が一設定から発生した設定先行の世界観であり、キャラは設定から生まれた派生に近いものです。世界観の更新は最優先事項となり、必然的にキャラが犠牲になります。そしてそれが5度も起きた以上、6度目が起こらない保証はありません。
元々、長編に向かない人間だったようです。設定を考えるのはすごく好きだったんですけどね。
加えて、別の趣味の比率が日常生活の大半を占めるようになったことも、要因としては非常に大きいです。
その趣味も創作意欲を吸うものなので、現在の創作意欲の9割はその趣味に割かれており、可処分時間の8割くらいを捧げています。
そのため、『うたかた夜空』は完結の保証がなく、ずっと未練がましく持っているよりも、設定公開を作品完結に代えるほうが現実的であると判断しました。
とはいえ、自分の中にある展開を吐き出しきらずに設定だけ公開するのも不完全燃焼なので、専用のWebサイトを作成し、各章ごとの場面を公開します。それらをもって、この作品との別れとしたいです。
この作品を完結させることは私のしたいことの一つでしたが、肥大し続ける世界観を折に触れてブラッシュアップすることを繰り返し、いつしか物語を書くことすらなくなってしまいました。どの再構築のときでも第1章より次を書くことはなく、読者からすればずっと同じキャラが出てくるパラレルワールドを見せられている気分だったことでしょう。それは私も本意ではありません。
最後に、このブログを見ることはないと思いますが、別名義で『うたかた夜空』の改題前を読んでくださっていた読者の方々には深くお礼を申し上げます。
そして特に、この作品を好きだと思ってくれ、よくファンアートを描いてくださった絵描きさんには、本当に感謝してもし切れません。貴方のおかげで作品の解像度が格段に上がりましたし、今もこうして物書きを続けることができています。10年という月日を一番実感できるのは、貴方の活躍を見ているときです。本当にありがとうございました。
それでは。長くなってしまいましたが、これで以上です。
設定公開サイトでお会いしましょう。
ありがとうございました。